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1.はじめに 主任教授の島田光生先生から留学のお許しをいただいてから出発までの約4ヶ月は、大学での仕事の整理と、お世話になっている病院の仕事と、渡航準備におわれました。6歳の長男と妻も一緒に渡航するため、必要最小限の家財道具の選定と梱包をしなければなりませんでした。 |
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2.何をまず先にすべきか・・・日本での準備編 毎年のように海外留学者があるとか,海外留学経験者が身近にいるところでは,先輩に聞けば簡単ですが,ほとんどいないところからの海外への準備はなかなか感慨深いものがありました。 <まず情報収集> やはりこの時代,インターネットでしょう。結果的にはスウェーデンに関しては「デジタル佐藤メモ」が抜群に有効でした。ただ,インターネットに頼りすぎると,情報過多になってしまって,出発直前には混乱してしまい,肝心の「デジタル佐藤メモ」を十分に活用できていませんでした。しばらくは「デジタル佐藤メモ」を越えるものは出でこないと思います。現在,「デジタル佐藤メモ」は2005年9月に改訂され,新しく確かな情報が満載されています。 <海外留学先の決定> それぞれ,いろんな経緯がありますが,私の場合は先代教授の田代征記先生(現四国中央病院院長)が1999年に会長を務められた「肝移植研究会」にゲストとして来られたカロリンスカ医科大学のBo-Goran Ericzon教授のお世話をさせていただいたのをきっかけに,メールのやりとりをさせていただき,(自称「メル友」と呼んでました。),それが縁であったのと,2004年に当科教授に就任された島田光生先生のご専門が肝臓移植で,私の研究テーマが「熱ショックタンパク質と肝障害」ということもあって,留学のご許可をいただきました。 <まず急いでする事>
<ビザの申請と取得> 3カ月以上の滞在予定者はビザが必要です。ビザには「居住許可ビザ」と「居住許可+就労ビザ」がありますが,留学先の身分によって申請が異なります。スウェーデン語が堪能で,留学先から給料が出る場合は,「居住許可+就労ビザ」になりますが,「guest researcher」の場合は「居住許可ビザ」の申請となります。六本木のスウェーデン大使館(http://www.swedenabroad.com/pages/start----4001.asp)に直接出向いて申請をするのですが,物事を全く知らないとは恐ろしいもので,私は医学学会旅行代理店に相談して,無理矢理に申請から取得までお願いしてしまいました。名前を出してしまうと,今後さらにご迷惑がかかる可能性がありますので,あえて掲載しませんが,この場をお借りして御礼を申し上げます。 <ビザの申請の時期> 前出のように,留学先が決定した時点ですぐ始められた方がいいと思います。早ければ早いほどいいです。これが取得できなければ出発日が決まりませんし,アパートの入居日が決まらないので,アパート自体も決定できなくなります。この申請は早くしましょう。 <ビザの申請方法> 私費留学,公費留学など,留学の種類によって申請方法,申請するビザが違ってきます。私の場合は私費留学でした。申請方法は,1)スウェーデン大使館に直接行って申請する,2)コンピュータでホームページからダウンロードする(就労ビザのみ),3)郵送してもらう,があります。申請書を取り寄せるための申請書が必要です。在日本スウェーデン大使館に申請するので日本語でかまいません。
を作成して提出します。これでビザ申請用紙が手に入ります。 <ビザ申請用紙記入例> これが正しい記入例かはわかりませんが,大体の書き方を掲載します。(2005年7月の時点での様式です) ― ビザ申請用紙に添える書類 ―
<海外でのお金のこと> すべてカードというのも構いませんが,やはり現金で支払うこともあると思います。カードはVISAが最強と思います(個人的に。ちなみにKarolinska InstitutetのブティックはAMEXではだめでした。)。銀行系のクレジットカードで現金を引き落とすことも可能ですが,いわゆる「キャッシング」という形となり,利息がかかるそうです。 <海外保険について> クレジットカードに海外保険が付いているものもありますが,あくまでも旅行とかの短期間用で,留学など,長期間の海外保険はそれぞれありますが,これに歯の治療保険も含めると,AIUとエースになりました。 <海外での医療費が日本で帰ってくる?> 嘘のような,本当の話です。もちろん諸手続や,書類は必要ですが,基本的には,海外滞在中でも日本で,厚生年金をかけていればという前提がありますが,一旦請求された金額は全額支払いして,必要な書類を書いてもらって,日本に持ち帰ると日本での医療基準と比較して,支払い対象となるものだけ保険料がかえってくるというシステムだそうです。 <生活必需品の郵送> 私たちは発送に関しては郵便局のSAL便を利用しました。これは航空便の空きがあったら、荷物を載せてくれるシステムで、一般にスウェーデンまでは約2〜4週間かかるそうでした。もちろん民間のよく知られた宅配便の海外宅配サービスもあり、場合によっては梱包から発送まで請け負ってくれたりしますが、当然,料金が高くなり、郵送だけでも郵便局のSAL便と比較して倍近くかかるようです。さらに、スウェーデンに支店がなく、現地の宅配業者に依頼して配達という形をどの宅配会社もとっているようで、配達時期がかなり遅れたり、配達されない荷物もあるとのことで、なかなか難しいようです(詳細は郵便局ホームページ http://www.post.japanpost.jp/index.htmlで。) |
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出発ギリギリまで荷作りに追われ、 家内が中心になって夜遅くまでがんばってくれました。 |
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<滞在先の確保> まずは留学先に依頼するのがベストだと思います。特にスウェーデンは慢性的に住宅不足で、時々新聞に空き物件や、短期間の貸し物件が出ていますが、子供連れは不可とか、いろいろ制約、注文があるようです。Karolinskaの場合、「University Accomodation Center (UAC)」が引き受けてくれます。ただ、私は留学先に要請して、そこからUACに連絡を取ってくれました。http://www.uac.seからアクセスして、メールを送ってもいいと思います。到着日、滞在人数、滞在期間などをまず連絡して、希望を伝えます。続いてApplication formをダウンロードして必要事項を記入してFAXで送り、宿舎をアレンジできた旨の連絡と一緒にconfirmationの書類がメールされますので、これにサインをして、郵送します。これで滞在先は確保されます。 <航空会社の選定> 旅行会社に依頼するも良し,インターネットを使って格安航空券を自分で検索するも良し,どの方法でもいいと思います。基本的に日本からスウェーデンまでは直行便がないため,近隣国で乗り換えとなります。日系航空会社でヨーロッパまで行き(コードシェア便と思いますが),乗り換えてスウェーデンという方法がマイルもたまるし,安心かもしれません。私は6歳の子供同伴であったため,極力飛行時間が短くて済む,しかも安価な航空会社を選択しました。わずかですが,例を挙げてみます。 (1) フィンランド航空(関空発):月火木金土運行 (2) ルフトハンザ航空(関空発):毎日便 (3) スカンジナビア航空(成田発):毎日便 (4) KLMオランダ航空(成田発):毎日便 (5) ルフトハンザ航空(成田発):毎日便 |
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フライトアテンダントのみなさんはなかなか個性的でした。 まさか「fish only!」とは言わないでしょうねえ。 |
機内は快適で,座席も比較的ゆったりしていました。 機内食はこのようなもので,やはり日本人にはちょっと… 残念ながら子供用の食事は前もってリクエストできませんでした。 |
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まずは乗り継ぎのフィンランド,ヘルシンキ空港に到着しました。給油もなく,次の目的地に飛ぶため,英語の案内のみで,降りる人は降りる,みたいな,知らない間に降りていくような感じでした。 |
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3.スウェーデン到着−生活基盤確保編 <スウェーデン到着> どうにか無事,9月5日にスウェーデンまで到着しましたが,実はこれからが大変でした.少しでも現地になれるために早めにスウェーデンに入って生活の基盤を作る予定が,ビザ取得が遅れたために,アパートの入居日である9月8日より早くスウェーデン入りになってしまいました.さらに不運なことに27th Congress of the European Society of Cardiologyというかなり大きな国際学会がストックホルムであったため,市内のホテルは全く予約が取れない状態でした.生来の「ツメ」の甘さでしょうか,現地でどうにかホテルは確保できるだろうと思い到着したのですが,全くとれない状態でした.結果的に避暑地であるUppland Broという所の豪華なホテルに宿泊となってしまいました。 |
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ホテル入り口までは非常に長い道がありまして, まるでお城のようなホテルでした。 |
大学などが,サマーセミナーによく使うみたいで,この日も何組かセミナーに来ていました。当科もいかがですか? |
豪華ホテルを後にして電車でストックホルムまで向かいます。 |
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日本から前もって送っていた荷物はSAL便を利用すると,通常2週間でスウェーデンに到着しますが,なぜか異常に早く到着しておりました。また,別の荷物はスウェーデンの税関で開けられており,このような黄色いテープで再梱包されていました.結構,日本から薬を送ったので,少しどきどきものでしたが,没収はなかったようです. | |
まずはご近所の日本人のみなさまに(今もそうですが,)情報をいただき,スーパーで食材の買い出しです。 やはり日本人です,ラーメンに手を出してしまいました。 |
このアパートに移ってから作った食事の記念すべき第一作目はラーメンです。しかも具材はキャベツ。このキャベツ,後でしっかり御紹介しますが,生でも,焼いてもものすごくシャキシャキで,煮込んで初めて,少ししんなりしました。 |
4.何をまず先にすべきか・・・スウェーデン到着後編 初めての海外留学でわくわくドキドキばかりではありません、不安もいっぱい。さらに日々を生きていかなくてはなりません。食料はどこで調達するのか、どうやってそこまでいけばいいのか、バス?地下鉄?電車?どれにしても乗り方は日本とそう変わりはないのに、まるで「はじめてのおつかい」のような感じで,何をするにも「ここはどこ,私は誰?どうすればいいの?」状態です。 <携帯電話を手に入れる> まずは携帯電話を手に入れましょう:これで、居ながらにして行動範囲がグッと広がります。1年以上滞在し、personal numberとこれに伴うIDカードをまず取得した人は日本と同じ携帯電話が購入できますが、とりあえず、まずは携帯電話という人と、IDカードを所持していない人は、プリペイドタイプの携帯電話が購入できます。購入場所はおそらくどこでも購入可能ですが、私たちは「The Phone House」で購入しました。ここは青地に白文字でかかれた看板で、結構どこでも見かけたからです。前もって、ストックホルムは現在慢性的に携帯電話が手に入りにくい状態と聞いていましたが、機種や機能とかにあまりこだわらなければ比較的簡単に手に入りました。これで職場にも連絡ができるし、結構便利です。日本では,まずプリペイド式携帯電話は買うことはないので,念のために,「どのくらいの金額をchargeするか?」と聞かれますので,店員と相談して,とりあえず,500SEKにしました。Chargeした金額がなくなると,最寄りの電話屋にいって,再びcharge(recharge)してもらいます。残金があった場合は,rechargeすると残金の上に加金されます。 <日本から携帯電話を持っていく> 最近はVodafoneを中心に日本の携帯電話が海外でもしようできるようになっています。これのいいところは,日本で取得した電話番号で日本からかけられることです。ただ,料金は国際電話料金ですし,かけた側だけでなく,受信側も料金が発生します。さらに,滞在中の職場とかから電話をかけるときは日本の国番号(81)をつけてダイヤルし,しかも料金は国際電話料金になります。 <職場に行く> つぎに職場に出頭しましょう。幸いなことに私のお世話になっているDivision of Transplantation Surgeryは「とにかく家族を大切に」がモットーで、「移植で昼夜を問わず出かけて家族に日頃迷惑をかけているのだから、家のことをちゃんとしてから来なさい」,と言ってくれていたのですが、やっぱり、職場にいけば行ったで、諸手続きが大変です(「職場での諸手続き編」を参照)。
<地図とバス時刻表を手に入れる>
Geo Center発行のEURO CITY MAP「Stockholm」と「ポケットマップ」が有用です。前者は日本の書店で購入できますし,何より大判です。さらによく見るとバスの路線番号が書いてあって,停車駅まで記入されているのでこれとバス時刻表を併用すると非常に便利です。後者はNKデパート前のインフォメーションセンターで購入でき,裏表紙には地下鉄路線図が載っており,まず大判で場所確認して,ポケット版で携帯するというのがいいです。 <IDカードを取得する> 1年以上滞在される方はPersonal number取得とIDカードの作成をしましょう。これは誰がなんといおうと「デジタル佐藤メモ」に書いてあるとおり(これをしっかり出国前に見とけばよかった。)Soder Malmの税務署(Skatteverket)でまずpersonal numberを申請します。税務署の場所を探すのにひと苦労でした。パスポートをお忘れなく。申請書を入り口の案内所でもらい,入居先の住所と、職場の住所、職場の責任者氏名(この3つはメモしておいた方がいいです)などを記入して(英語で申請書は書かれていますが,案内係の人がうろうろしているので、その都度チェックしてもらった方が楽です)順番待ちのチケットをとって、順番が来たら窓口に向かいます。手続き自体は簡単で、30分程度で済みます。夏休み期間の7、8月以外は職員がフル出勤しているので、あまり待たされることなく、だいたい2週間以内にpersonal numberの書かれた書類と、住民登録書が郵送されてきます。 (つづく…) |